消費増税「急ぐ必要ない」小沢氏、修正でも反対
(読売新聞2012年3月21日08時54分)
民主党の小沢一郎元代表は読売新聞のインタビューで、野田政権が今国会での成立を目指す消費税率引き上げ関連法案に関し、法案修正の有無にかかわらず反対する考えを表明した。
自民党との大連立にも否定的な見解を示した。同法案を巡る党内論議に影響を与える可能性もある。
小沢元代表は、消費増税について「消費税そのものの論議を否定しているわけではない」としたうえで、行財政や社会保障の改革、経済の立て直しを優先させるべきだとの考えを示した。党内の事前審査で、同法案付則の景気弾力条項などが焦点となっていることについては「条項を修正するとか、公務員給与や議員定数を削減するとか、テクニカルな問題ではない。国民が納得しない」と述べ、修正が行われても賛成しない考えを明確にした。
消費税率を引き上げなければ国債の信認が低下するとの懸念に対しては、国内で国債の90%以上を消化していることを理由に「切羽詰まっている状況ではない」と指摘。野田首相が月内に目指す法案の閣議決定も「急ぐ必要はない」と強調した。首相との会談は「会う立場ではない」と消極姿勢を示した。
大連立 党を引きずるな
(読売新聞3月21日)
小沢元代表一問一答
――野田政権の評価は。
「野田政権というより、民主党政権に対する厳しい国民の意識を謙虚に受け止めないと民主党はなくなってしまう。このままでは政権交代可能な仕組みが定着せず、カオス(混沌= こんとん)のような状況になることを非常に心配している」
―― かつて消費税増税を訴えたが。
「消費税そのものの論議を否定しているわけではない。その前にやるべきことがある。『改革なくして増税なし』『社会保障の充実なくして増税なし』『経済の再生なくして増税なし』だ」
―― 消費税率を引き上げないと国債が暴落するのではないかとの見方もある。
「財務省が言っている話だ。日本の国債は90%以上を国内で消化しており、切羽詰まっている状況ではない。隠れたカネもまだある。5年も10年も放っておいていい話ではないが……」
――消費税率引き上げ関連法案は景気弾力条項などを修正すれば容認できるか。
「条項を修正するとか、公務員給与や議員定数を削減するとか、そういうテクニカルな問題ではない。増税する前に大改革を実施する。自民党政治のまま、官僚機構に乗ったまま大増税では国民が納得しない」
―― 3月中の国会提出については。
「国会日程が詰まっているし、根本の話からいっても急ぐ必要はない。もっと話し合いを続けるべきだ」
―― 国会が混乱し、野党が内閣不信任決議案を出した場合に同調することは。
「野田さんも、もう一度原点に戻って、やり直す時間は十分ある。それを全部すっ飛ばして消費増税だけを強行すると、党内でも国会でもいい結果は出ない」
―― 衆院解散を野党に約束する代わりに消費税法案に協力を得る案が取りざたされているが。
「自民党と組んで解散しても、人気のないもの同士ろくなことはない。自民党もアウトになる。野田さんが暴走するような形で強権的にやったら党内の支持基盤がなくなるのではないか」
―― 輿石幹事長は首相と小沢元代表らのつなぎ役になれるのか。
「野田さんは前のめりの発言をしてしまうから、幹事長も容易ではないのではないか。もう少し余裕があれば『ここらへんで』という話もあるかもしれないが、言葉が先行している」
会う立場ではない
――首相と会うつもりは。
「党大会への参加も認められていない。会う立場ではない」
――首相と話し合って折り合うことはできないのか。
「首相の『政治生命をかけた不退転の決意』がどういうものか、ということではないか。言葉通りなら、進退をかけるということだろう。それなら何でもできる。僕がどうこうではなくて、国民の意識が多少は変わる。言葉面だけだと思われているので、そんなことよりも先にやることがあるのでは、となる」
―― 一生懸命さが足りないということか。
「僕は竹下(内閣の官房副長官)のときに消費税を作ったが、毎日、毎晩、死ぬ思いだった。竹下はもちろん、小渕(恵三官房長官)ちゃんも。民主主義の発祥は税の問題だ。簡単にひよいと上げられると思う方がどうかしている」
―― 岡田副総理が自民党幹部に大連立を打診したが。
「報道が事実なら、党内で一生懸命議論しているときに、まとまりそうもないから他党と連立したいと話をするのは、普通の政治家の感覚としては考えられない。アンビリーバブル(信じられない)だ」
―― 離党することは。
「国民に約束したことを忘れた方が出て行くのが普通だ。大連立をしたいのであれば、それに賛同する人たちを引き連れてやればいい。民主党全部を引きずっていくのはかなわない」
――橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」との連携は。
「民主党が政権交代を目指して熱く訴えたことを忘れたので、お株を奪われてしまった。既成政党ではだめで、もう一度新しいものに期待しようという感覚だ。かなり票を集めると思う。ただ、もう一度民主党が政権交代の大義を思い起こせば必ず支持が戻ってくる。連携を急ぐ必要はない」
――衆院解散の時期は。
「今国会中はないと思うが、任期満了までというのも難しい。国民から早く信を問えという声が大きくなるのではないか」
やれることをやる
――9 月の代表選に自ら出馬する意思はあるか。
「いまは公判中の身で、結果はどうなるか分からない。このままでは国が悲劇的な状況になるし、国民が不幸に陥りかねない。最後のご奉公として自分がやれることはやるつもりだ」
――陸山会事件の判決が4月に言い渡されるが。
「意見陳述で『裁判所の公正な判断をお願いします』と言った。それに尽きる」
(間き手・穴井雄治、杉田義文)